睡眠には2種類あります。そう「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」、
私たちは、この2つの睡眠を行き来して眠っています。
人生の約3~4分の1は眠って過ごすもの。
私たちにとって非常に身近な存在であるのは、言うまでもないこと。
でもその正体は謎に包まれており、なぜ毎日眠らなければならないのかも、
実は解明されていないのです。
と言うわけで、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」、その違いは何か、
調べてみました。 なんでもレム睡眠が増えると、
アルツハイマー認知症の予防になるとの仮説も、ご紹介します。
それでは知的好奇心に満ちた、眠りの科学へご招待です。
●レム睡眠、ノンレム睡眠、違いはコレ!
2種の睡眠のうち、ノンレム睡眠は、睡眠全体の
80~85%を占め、心拍や呼吸は安定しており、
脳波には特徴的な「デルタ波」が計測されます。
もう一つのレム睡眠は、覚醒に近い睡眠なんです。
睡眠全体の10~15%を占め、心拍や呼吸は不安定に変化し、
夢を見易い傾向にあります。
【レム・ノンレム睡眠と体の変化】
レム睡眠 | ノンレム睡眠 | |
眼球の動き | 早い | 入眠時に遅い運動 |
筋肉の緊張 | 著しく低下 | 中程度 |
心拍数 | 乱れて早め | 遅い |
呼吸 | 乱れて早め | 遅い |
血圧 | 乱れて上昇気味 | 低下 |
胃酸分泌量 | 増加 | 減少 |
発汗 | 少なめ | 多め |
大脳 | 活性化 | 鎮静 |
レム睡眠時には、成長ホルモンの分泌量が増え、体をメンテナンスしています。
脳内で細胞の隙間が少し広くなって、そこから老廃物の排出も行われてます。
また脳の神経細胞同士を繋いでいる配線「シナプス」が作り変わってます。
一方のレム睡眠、現在まだほとんど、何も判っていない状況と言われますが、
レム睡眠と加齢に関する論文を紹介します。
どうもレム睡眠は赤ちゃんのときに非常に多く、生後半年の間に激減し、
その後も加齢に伴い減っていくというのです。
《レム睡眠の割合》
年齢層 | レム睡眠割合 |
生後2週間以内 | ≒50% |
6ヶ月~2才 | ≒30% |
一般平均男女 | ≒22% |
70才以上高齢者 | ≒13% |
レム睡眠も学習能力も、加齢や疾病に呼応して変化する。
学習能力が高い発達期に、レム睡眠が多い、そんな仮説が有力です。
●レム睡眠が良質な睡眠の鍵
かように謎多きレム睡眠なのですが、レム睡眠はノンレム睡眠の質を高める
という重要な機能があると言います。
研究で、マウスのレム睡眠をオン・オフ切り替える役割を果たす細胞が
発見され、レム睡眠・ノンレム睡眠だけの睡眠サイクルが実験されたところ、
レム睡眠には、ノンレム睡眠中に出る、脳内のデルタを波を促す作用がある
ということでした。
デルタ波が弱くなると、ノンレム睡眠の質も下がります。
結果レム睡眠は、ノンレム睡眠の質を陰で支える機能があるとされています。
デルタ波は睡眠を深くする効果があり、睡眠中の外部からの刺激(光・音等)
の拡散を、抑制する効果があるのです。
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●レム睡眠が増えるとアルツ予防の効果も?
認知症とレム睡眠の関係性にも注目が高まっており、一見関係なさそうに
見えますが、認知症の方は、そうでない健常者に比べて、レム睡眠が
減少している傾向ありと言われます。
母集団を20~30年にわたり、睡眠測定した結果、認知症とレム睡眠の
相関が報告されています。どうやら健常者でも、レム睡眠が少なかった人が
20年以内に、アルツハイマー認知症を発症しているとのことでした。
アルツハイマーの原因物質と言われる「アミロイド」も関心が向けられています。
●マトメ
眠りを科学してみましたが、いかがでしょうか。
人類の睡眠は、体内時計の仕組みと関係しており、もともとは
太陽とうまくつきあうためのメカニズムだと考えられてきました。
人間の一生におけるレム・ノンレム睡眠の傾向に着目して参りましたが、
今後も研究が進んで、真説が解明されゆくものとみます。
健康あっての人生、これからも注視して参ります。
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